このシリーズの第3回では、AIの発展とコンピュータ技術の進化の関連性を探り、AIがどのようにして現在の形に進化してきたかを詳しく見ていきます。AIとコンピュータ技術の進歩は互いに影響を与え合いながら、今日のデジタル社会の基盤を築いてきたのです。
AIの発展は、コンピュータ技術の進歩と密接に連動しています。1970年代から1980年代にかけて、コンピュータの進化はAI研究に新たな可能性をもたらしました。
1970年代初頭、コンピュータはまだ大きく高価な機器でしたが、この時代にはマイクロプロセッサの登場により、コンピュータの小型化とコスト削減が進みました。これにより、より多くの研究者がコンピュータを利用してAI研究を行うことが可能になりました。
この時期には、AI研究は主に「エキスパートシステム」の開発に焦点を当てていました。エキスパートシステムは、特定の専門分野の知識をコンピュータに入力し、その知識を基に意思決定を支援するシステムです。このアプローチは、医療診断、株価分析、地質調査など多くの分野で応用されました。
1980年代には、コンピュータの処理能力と記憶容量が飛躍的に向上しました。これにより、より複雑なAIアルゴリズムの実行が可能になり、AIの応用範囲が大きく広がりました。この時代には、機械学習という新しいAIの分野も登場しました。機械学習は、データからパターンを学習し、新しいデータに対する予測や意思決定を行う技術です。
さらに、この時代の終わり頃には、ニューラルネットワークという概念が再び注目を集め始めました。ニューラルネットワークは、人間の脳の神経細胞のネットワークを模倣したコンピュータモデルであり、後のディープラーニングの基盤となります。
この時代には、AIはまだ実用的な応用には限界がありましたが、コンピュータ技術の進歩とともに、その可能性は大きく拡大していきました。AIのアルゴリズムや理論が発展し、新しい応用分野が開拓されていきました。
